猫の客

版元: 河出書房新社
装幀: 菊地信義
装画: 加納光於〔《稲妻捕り》L-No.15(カラー・リトグラフ), 1977〕
写真: 平出隆〔1990〕
定価: 1400円(税別)
ISBN: 978-4-30-901430-2
四六判 上製 カバー装 10ポ1段組 140頁

第6回木山捷平文学賞受賞
全国学校図書館協議会選定図書
日本図書館協会選定図書

帯文(背):
読書の秋、心を揺する話題作
帯文(表):
チビの来た庭 狂騰する時代の波に崩される古い屋敷での生きものの軌跡――魔術的私小説

《最後まで頁から視線をそらすことができない》高橋源一郎『週刊朝日』
《通常の私小説などではない、ひとつの出来事のような作品》巖谷國士『文藝』
《猫に接するふたりが実にいい。本当にあったかくて優しくて悲しい素晴らしい小説》豊崎由美『ダ・カーポ』
《これが文字の力というものなのだろう》萩原朔美『新潮』
《シオカラトンボとの類い稀な交歓は、背後に猫とのそれを秘して、しみじみと美しい》岩阪惠子『東京新聞』
《八〇年代という時代への墓碑銘》岡井隆『NHK歌壇』
《凛として書き上げた、出色の小説であると思う》狐『日刊現代』
《澄んで、あえかで、きりりと姿のよい逸品》倉本四郎『本の雑誌』
《『猫の客』には感服した。文章のたたずまいが見事だった。神経が末端の細胞にまで届いていることが感じられた。眼差しそのもの——つまりは光の量や変化を主人公とした作品で、神経小説などというとおかしいようだが、生理感覚と一体化した特異な散文性をもつ、例えば内田百閒、吉行淳之介、古井由吉の系譜につらなる傑作と思えたのである》長谷川郁夫「しもやけ残る円盤少年」『藝文往来』
《「いなずまとり」か「いなずまどり」か。この行(くだり)が特に面白い》柳瀬尚紀『朝日新聞』
《見事な写生文に感心した》安原顯『本の雑誌』
《『猫の客』にはさまざま特色があるが、その第一は瑞々しい感性、それを描写する独特の写生文だろう。(略)この手の小説にありがちな感傷的な描写がないことも特色の一つである。また隣家の猫を中心とした日常を淡々と描きながら、家族、老人、介護、バブル経済の崩壊、相続税などの諸問題を見え隠れさせるあたり、立派な現代小説になっている。ぼくが選考委員なら芥川賞に強く推したい傑作だ。》安原顯
《あくまでも暖かい無常感である。読後感がいい》川本三郎『毎日新聞』
《手のひらに美しい “珠” を乗せられた気のする小説》稲葉真弓『赤旗』
《言葉の偉大さ》中沢けい『メイプル』

《あまりに好きすぎてどうしたらいいのかわからなくなる作品》akiko_yb
《つい引き込まれてページが進んでしまう。それが惜しいので、同じところを何度も読み返す。僕は、こういう小説って好きだな~。》ramunos
《どんなに心を許していても人間には決して触れることが出来ない崇高なものを秘めた自然としての猫を、ここまで鮮やかに表現してのけた小説は稀ではないでしょうか。》babahide
《描写がきれいですごく和む。》beijingluv
《いつかは別れが来るものではありますが、生きているものに対するコミットメントは、愛おしくも儚く、むなしいものであることを感じさせられました。作中に「小さなその滴のようなその一日」という表現があるのですが、読み終わった後、その影響か、きれいな水滴を見ていたような感覚を持った一冊でした。そうだ。猫ちゃんの一生の中で重要な日が、3月11日だったというくだりがあり、もちろん偶然でしかないわけですが、なんとなく、ずしーん、と来ました。》hforhologram.tea

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