版元: 小沢書店
装幀: 菊地信義
定価: 2000円
B6判 上製ノート装 セロファンカヴァー 貼函入 107頁
目次 (はじめの光景 (凹地における母その他の肖像 (胸と肩 あるいは必死の渦 (自然観察者の手記 (水の囁いた動機 (死にゆく下等生命の素描 (若い姫蜂がつぶやく (毒草クララの城から (憑かれた家主の独身の生活 (孤独な翼手類の恍惚 (白い山塊との遭遇 (捨てられた雲のかたちの (骨の船 (若い整骨師の肖像 (かくして十一月は過ぎて (あとがき)
帯文(背):
平出隆最新詩集
帯文(表):
未知の磁力に惹かれ、言葉の無の渾沌のうちから、輝く無二の形態をとり出すーーー晴れやかな実験。
帯文(裏):
(平出隆「骨とサボテン」の一節)
《若い整骨師である詩人は、この詩集のなかで、スピノザのように、観察し、思考する。彼はマシナリーな領域のなかでおこる、意識の自己組織的な働き(観察や捕食や交尾や出産が、それを媒介する)のなかから、エチックをとりだそうとする試みにかけているという点において、まったくスピノザ的であると、ぼくは思う。ぼくたちの周囲に浮上しつつあるのは、「死せる祖父たち」の見たこともないような、異形の自然なのだ。しかもマシナリーの流れを阻止する堤防を築くことさえ、不可能だ。この異形の自然のなかに生きながら、そのまっただなかから新しい主体性の形成をめざすヴィジョンと表現が、いま必要だ。彼はそのことを、日本の詩人たちの誰よりもすばやく、正確に理解した。》 中沢新一「この完璧の鈴をふれ」『ケルビムの葡萄酒』所収