ベルリンの瞬間

版元: 集英社
装幀: 菊地信義
定価: 2000円(税別)
ISBN: 978-4-08-774557-3
四六判 上製 カバー装 9ポ1段組 360頁

第11回JTB紀行文学大賞受賞

目次 五月=[ヴァン湖畔 ヴィンターガルテン ツォイネ散歩道 ブッセ並木道 聖霊降誕祭まで] 六月=[木々の奇蹟 その家 関税特別郵便局 個人自動車市] 七月=[この家 愛のパレード ビルケの降る日 国境 大都市と小形式] 八月=[孔雀島 皺、シュターンズドルフ 周航記 ゴダールの新ドイツ零年 四千の日と夜] 九月=[プラハから カフカ・インスティテュート ガラとサーカス ダイムラーベンツ・シティ] 十月=[樫の並木の下で 統一の日 ハンザ・ホテル サン・ジミニアーノ 犬と少女] 十一月=[ドレスデン ヴェロドローム ポドビエルスキ並木道 フリードリッヒヴェルダー教会 室外寒暖計] 十二月=[アルマンド美術館 ピチェルスベルクのプムケ ツェランのリンゴ 聖夜のジーゲスゾイレ シュパンダウ ノイシュテート教会街の市街戦] 一月=[電話 Cに行きますか ナポリ 結晶学者の部屋] 二月=[六マルクの魔法 扉を押す女の像 ホテル・ザントヴィルト カイザーパノラマ館] 三月=[春の閾 外国人たち プリンセン島/スヴェンボウ 危険時刻 オラニエン街一番地] 四月=[聖土曜日のアウシュヴィッツ ワルシャワの広場で マルセイユからポルボウへ 貨車あるいはリベスキンドの建築 パリのパサージュ ヴァンゼー会議の館と「夏の家」 ティーアパルク] 五月=[シュトラーラウへ 瓦礫 わがアンハルティン街] 参照文献

帯文(背):
第11回紀行文学大賞受賞
帯文(表):
1900/2000年 住んでみて見えるもの ヨーロッパの悲惨をとどめてなお新鮮な首都で、カフカと暮し、ベンヤミンを歩く。20世紀と21世紀のふたつの世紀転換期を透明な遊歩でつなぐ詩人の、濃密な新ベルリン紀行。
帯文(裏):
ドイツでの主な訪問地=プラハ、ウィーン、グラーツ、フィレンツェ、サン・ジミニアーノ、アムステルダム、アメルスフォールト、ローマ、ナポリ、ヴェネツィア、デゼンツァーノ、ブレッシア、ヴェローナ、ヴィツェンツァ、ロンドン、コペンハーゲン、スヴェンボウ、ワルシャワ、クラクフ、アウシュヴィッツ、マルセイユ、ポルボウ、パリ……

《ドイツ滞在日誌である平出隆『ベルリンの瞬間』(集英社、二〇〇二年)の末尾で著者は、小包を後ろ向きに引きながら郵便局へと運ぶ。クレーの《新しい天使》、あの歴史の天使のイメージが、その描写ほどに生きて感じられたことは今までになかった。》 田中純(二〇〇三年読書アンケート)「みすず」2004年1・2月合併号

《ベルリンに滞在した一年間、平出隆は二十世紀の優れた知性を育んだ風土を訪ね歩き、作家と都市の交響に新たな楽章を書き加えた。時事的な話題が喧噪を極めた現在、心が洗われる一書だ。》 張競『本に寄り添う』(ピラールプレス 2011)

《平出隆は目のまえの町並みを観察すると同時に、ベンヤミンが見た過去の市街にもまなざしを向けている。と同時に、鉄鋼とガラスで出来た構造物について思索をめぐらす先達の姿を、ほぼ一世紀の間隔をおいて、冷静に見つめることができる。さらにカフカのドイツ体験と、ベンヤミンのカフカ論を一本の補助線として引くと、都市空間と作家とテクストのあいだの、想像力の三角形はくっきりと姿が現れる。》 張競「毎日新聞」2003年7月7日

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